2023年12月1日 検知器の使用が義務化

アルコールチェック義務化の完全ガイド|対象事業者・記録項目・保存期間をわかりやすく解説

公開日:2026年8月14日 / 最終更新:2026年8月14日

この記事の要点

① 白ナンバーの事業者でも、一定台数以上の車を使う事業所は安全運転管理者の選任が必要で、その業務としてアルコールチェックが義務づけられています。

② 2022年4月から目視等での確認と記録の1年間保存が、2023年12月からはアルコール検知器の使用が義務になりました。

③ 記録すべき項目は8つ。様式は自由ですが、漏れがあると意味をなしません。

目次

  1. アルコールチェック義務化とは(改正の流れ)
  2. 対象になる事業者の条件
  3. 実際に何をすればよいのか
  4. 記録すべき8項目と保存期間
  5. アルコール検知器の要件
  6. 守らなかった場合はどうなるか
  7. よくある質問
  8. 運用が続かない理由と、その解決策
  9. 出典・参考資料

1. アルコールチェック義務化とは(改正の流れ)

2021年に千葉県八街市で発生した、飲酒運転のトラックが下校中の児童の列に突入した事故をきっかけに、道路交通法施行規則が改正されました。それまで運送業などの「緑ナンバー」事業者に課されていた酒気帯び確認の義務が、自家用車を業務に使う「白ナンバー」の事業者にも拡大されたのが、いわゆるアルコールチェック義務化です。

時期義務化された内容
2022年4月1日運転前後の運転者に対し、目視等で酒気帯びの有無を確認すること。確認内容を記録し1年間保存すること
2023年12月1日確認の際にアルコール検知器を使用すること。検知器を常時有効に保持すること

検知器の使用義務化は当初2022年10月からの予定でしたが、半導体不足により検知器の供給が追いつかず延期され、最終的に2023年12月1日から施行されました。現在はすでに全面的に義務化されている状態です。

2. 対象になる事業者の条件

アルコールチェックの義務は、安全運転管理者を選任しなければならない事業所に課されます。判断は会社単位ではなく事業所(拠点)単位で行う点に注意が必要です。

条件内容
乗車定員による基準乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用している
台数による基準上記以外の自動車を5台以上使用している
※ 大型自動二輪車・普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算
副安全運転管理者20台以上40台未満で1人。40台以上は、20台を増すごとに1人を追加
見落としやすいポイント
本社に車が3台、営業所に車が5台という会社の場合、営業所だけが選任対象になります。「会社全体で8台だから対象」ではなく、「5台以上ある事業所が対象」という考え方です。拠点が増えたタイミングで対象になっていた、というケースが少なくありません。

安全運転管理者になれる人

安全運転管理者副安全運転管理者
年齢20歳以上
(副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上
20歳以上
実務経験運転の管理に関し2年以上運転の管理に関し1年以上

あわせて、次に該当する人は選任できません(欠格事項)。

選任したときは、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会へ届け出なければなりません(届出の窓口は、自動車の使用の本拠を管轄する警察署です)。

3. 実際に何をすればよいのか

やるべきことはシンプルです。運転の前と後の両方で、運転者の酒気帯びの有無を確認します。

確認のタイミング

1回の運転ごとに毎回行う必要はなく、業務の開始時と終了時の2回が基本です。ただし、長時間の業務で運転者が交代する場合など、実態に応じた運用が求められます。

確認の方法

アルコール検知器による測定に加えて、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などを確認します。検知器の数値だけで済ませるのではなく、目視等による確認と併せて行うのが原則です。

直行直帰の場合も義務は免除されません。
対面での確認ができない場合は、カメラ・モニター等で運転者の顔色や声の調子を確認できる方法、または運転者に携行させた検知器の測定結果を報告させる方法など、対面に準ずる適宜の方法で確認します。「会えないから省略」は認められません。

4. 記録すべき8項目と保存期間

確認した内容は記録し、1年間保存しなければなりません。記録すべき項目は次のとおりです。

#記録項目補足
1確認者名確認を行った人(安全運転管理者など)
2運転者の氏名確認を受けた運転者
3運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等ナンバープレート、または社内の車両管理番号
4確認の日時運転前・運転後それぞれ
5確認の方法(対面でない場合は具体的方法等)直行直帰などで対面できなかった場合は、その方法を残す
6運転者の酒気帯びの有無確認の結果
7指示事項運転者に指示した内容があれば
8その他必要な事項特記事項など

様式や保存媒体は法令で定められていません。紙でもExcelでもクラウドでも構いませんが、1年間さかのぼって提示できる状態を保つ必要があります。

実務でつまずくのはここです。
項目自体は難しくありませんが、拠点が複数あり、運転者が数十人いる規模になると、紙やExcelでは急速に破綻します。記入漏れ、押印待ち、月末の集計、そして「1年前の記録を出してください」と言われたときの捜索。義務化対応で本当に大変なのは、確認そのものではなく記録を1年間、抜けなく維持し続けることです。

5. アルコール検知器の要件

使用する検知器について、特定の機種が指定されているわけではありません。求められるのは次の2点です。

「常時有効に保持する」とは

単に検知器を置いておけばよいという意味ではありません。警察庁のQ&Aでは、次のように示されています。

アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づき、適切に使用し、管理し、及び保守するとともに、定期的に故障の有無を確認し、故障がないものを使用しなければなりません。

つまり、取扱説明書どおりに使い・管理し・保守することと、定期的な故障確認が求められています。

これに加えて、実務上は次のような運用をしておくと安全です(法令上の要件ではなく、現場での推奨事項です)。

センサーには寿命があり、使用回数を超えると測定値の信頼性が落ちます。残り使用回数の管理は実務上の重要なポイントです。

6. 守らなかった場合はどうなるか

酒気帯び確認の義務違反そのものに、直接の罰金規定は設けられていません。ただし「罰則がないから大丈夫」ということではありません。2022年10月の道路交通法改正で、関連する罰則は大幅に強化されています。

違反の内容罰則
安全運転管理者の選任義務違反
(選任すべき事業所が選任していない)
50万円以下の罰金
※ 2022年10月の改正で5万円以下から引き上げ
是正措置命令違反
(公安委員会の命令に従わない)
50万円以下の罰金
※ 2022年10月の改正で新設
安全運転管理者の解任命令業務を怠っていると判断された場合、公安委員会が解任を命じることがある

酒気帯び確認を怠っていること自体が直ちに罰金になるわけではありませんが、それが是正措置命令につながり、命令に従わなければ50万円以下の罰金という流れになります。

罰則強化の背景
2021年6月に千葉県八街市で発生した児童死傷事故では、事業所が選任要件を満たしていたにもかかわらず安全運転管理者が選任されていなかったことが問題視されました。これが選任義務違反の厳罰化(5万円以下→50万円以下)と、是正措置命令違反の新設につながっています。

さらに現実的なリスクとして、飲酒運転による事故が起きた場合の企業責任があります。確認記録が残っていなければ、「適切な管理を行っていた」と主張する根拠を失います。記録は義務であると同時に、会社を守る証拠でもあります。

7. よくある質問

Q. 直行直帰やテレワークで対面確認ができない場合は?

カメラやモニターで顔色・声の調子を確認する、携行させた検知器の測定結果を報告させるなど、対面に準ずる方法で確認します。確認方法は記録項目の一つなので、どの方法で行ったかを残してください。

Q. 検知器に指定の機種はありますか?

特定機種の指定はありません。呼気中のアルコールの有無または濃度を示せるものであれば足ります。ただし常時有効に保持する義務があるため、使用回数や有効期限の管理は必要です。

Q. 記録は紙で保管してもよいですか?

構いません。様式・媒体の指定はありません。ただし1年間の保存義務があり、必要な項目が漏れなく記録され、求めに応じて提示できる必要があります。

Q. 社用車が少ない事業所も対象ですか?

事業所単位で判断します。乗車定員11人以上の車が1台以上、またはその他の車が5台以上ある事業所が対象です。これに満たない事業所には選任義務がなく、アルコールチェックの義務も生じません。

Q. 運転者本人が測定して自己申告する形でもよいですか?

測定を運転者本人が行うこと自体は、対面が困難な場合の方法として認められています。ただし確認する主体は安全運転管理者です。電話等で応答の声の調子を確認しながら測定結果を報告させるなど、対面と同視できる方法をとる必要があります。「本人が測って、後でまとめて報告」では要件を満たしません。

Q. 安全運転管理者が不在のときは、誰も確認できないのでしょうか?

安全運転管理者が行うのが原則ですが、不在や多忙で適切に行えないおそれがある場合には、副安全運転管理者や、業務を補助する者(補助者)に行わせることができます。その場合、あらかじめ補助者を指定し、①確認の方法 ②酒気を帯びていることを確認したときは速やかに安全運転管理者へ報告し指示を受けること、を指導・教育しておく必要があります。

Q. 運転者が個人で買った検知器を使ってもよいですか?

検知器は基本的に自動車の使用者(会社)が購入すべきものとされています。ただし事業所の個別事情によりやむを得ない場合は、安全運転管理者が定期的に正常作動・故障の有無を確認するなど、会社の検知器と同等の管理が行われている限り、個人購入のものを使用しても差し支えないとされています。

Q. 出張先の事業所で社用車に乗る場合はどうすればよいですか?

同じ会社の別の事業所に安全運転管理者がいる場合、①出張先の安全運転管理者が目視等で確認し、立会いのもとで出張先の検知器を使わせる ②その結果を、出張先の安全運転管理者から所属事業所の安全運転管理者へ報告する(または立会いのもと本人に電話等で報告させる)——この両方が行われれば、確認を行ったものとして扱えます。

8. 運用が続かない理由と、その解決策

義務化から数年が経ち、多くの企業が直面しているのは「制度を知らない」ことではなく、始めた運用が続かないことです。よくある失敗は次の3つです。

① 記録が集まらない

紙の台帳は拠点ごとにバラバラに保管され、本社が全体を把握できません。月末にまとめて記入される、いわゆる「後付け記録」も起きがちです。

② 確認者が捕まらない

早朝出発や直行直帰では、確認者が不在で確認が形骸化します。「あとで報告」がそのまま忘れられます。

③ 検知器の管理が抜ける

センサーの使用回数を超えたまま使い続けている、故障に気づかない、といった状態は「常時有効に保持」の要件を満たしません。

解決の方向性
これらはいずれも「担当者の努力」では解決しません。測定した瞬間に記録が自動で残り、拠点をまたいで一元管理される仕組みにするのが確実です。スマートフォンとアルコール検知器を連携させれば、測定値・日時・運転者・確認者・写真が自動で記録され、後付けも記入漏れも起きません。

アルコールチェックの記録、続いていますか?

SafetyStation+ は、アルコールチェック・出庫入庫・運転日報・車両予約を1つにまとめた車両運行管理システムです。検知器とスマホをBluetoothで連携し、測定と同時に記録が残ります。電波の届かない場所でもオフラインで記録でき、復旧時に自動送信されます。

資料請求・お問い合わせ

導入のご相談・お見積りは無料です。担当者からご連絡します。

出典・参考資料

本記事の法令に関する記述は、以下の公的資料をもとに作成しています。

※ 本記事は上記の公的資料をもとに、実務担当者向けにわかりやすく整理したものです。制度の運用は改正される場合があります。最新の情報や個別の判断については、警察庁および各都道府県警察の公表資料、または自動車の使用の本拠を管轄する警察署にご確認ください。本記事は個別の事案についての法的助言を目的とするものではありません。